医業承継の買収監査(デューデリジェンス)とは?
基礎知識コラム
M&Aにおける買収監査とは、デューデリジェンス(デューデリ、DD)とも呼ばれ、最終契約を締結する前に買手によって行われる買収対象の最終調査を指します。
意向表明をして独占交渉権を取得した買手は、最終的な買収の可否と条件を決定することとなります。決定をするためには、事前情報の正確性の照合や、事業リスクの見極めが必要になります。照合や見極めをするには多角的な調査確認が必要で、その調査確認が買収監査です。対象事業が非定型的な場合や、買手にとって未知な新規分野であった場合には、買収監査の範囲や専門性が高まり、かかる費用や時間が多くなります。
医業承継の対象となる医院事業は、通常の買手にとっては慣れ親しんだ診療を主業務とした事業です。対象が既知のものですので、買収監査の目的は事業リスクの見極めよりも事前情報の正確性の照合が中心となります。許認可事業で組織や収支の構造も定型的であるため、照合する資料も定型的といえます。
このコラムでは、実際に医業承継ではどの様な資料により買収監査が行われるかについてお伝えします。
買収監査の方法と期間
小規模で定型的な事業である医院の承継では、多額な費用をかけて複数の専門家を雇い買収監査を行うケースはあまりみられません。殆どのケースが、買手本人や承継後の顧問税理士に協力を仰いで行われます。
医業承継の買収監査は照合のための調査であり、またネームクリア後の情報開示の時点で決算書や認可申請書類などが開示されていることが多いため、短期間で行われます。基本合意書が締結されてから約1ヶ月~1ヶ月半程度の間に、買収監査が行われ最終契約の締結まで進みます。
買収監査の内容
買収監査の内容は、調査の領域によって「財務」「法務」「人事」「ビジネス」の4つの分野に大別されます。これは、医業承継の買収監査も同様です。
①財務
決算書、青色申告決算書などを確認することで、事業の財務状況を調査します。実際に引き継ぐ資産負債や事業に関わる経費の内容を把握することで、承継後の事業計画立案に役立てることができます。
②法務
登記簿、許認可申請書や各種契約書などを確認することで、事業を法的な側面から調査します。現在締結されている賃貸借契約などの諸契約を確認するだけでなく、過去に訴訟等が発生していないかを確認することで、将来的なトラブルを防ぎます。
③人事
労務規程、労働契約書や源泉徴収資料などを確認することで、人事に関する調査をします。スタッフが10名未満のため労務規程を作成していない医院も多いため、承継後の人材確保や労務管理をどうするか検討するための材料ともなります。
④ビジネス
一般的なM&Aではビジネススキームや市場動向などを調査しますが、医業承継では大枠の動向調査よりも競合医院の有無、医療機材の種類、医院業務の実務分担といったより現場に沿った内容の確認をします。承継後の運営にとって、貴重な情報となります。
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<買収監査の内容>
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