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Column コラム 医業承継のいまとこれから~第三者承継の広がり~ 

お役立ちコラム 2022年07月04日(月)
2022年07月04日(月)

医業承継のいまとこれから~第三者承継の広がり~ 

お役立ちコラム

今回はケアネットが従事している医業承継について、さらに理解を深めるために日本医師会総合政策研究機構のレポート1)の研究結果をまとめました。レポートから確認できた医業承継に係るボトルネックとその解決に向けて、ケアネットとしてできることについて、今後の展望として最後にまとめました。

1. 医業承継を取り巻く現状

①医療機関経営者の後継者不在率の高さ

民間調査データに基づく医療機関経営者の後継者不在率を施設別に見ると、診療所で 86.1%、病院で 68.4%です。これは、全業種合計 66.5%に比べて高く、特に診療所は顕著に高いことがわかります。(図表1-1)





②診療所の廃止・休止施設の増加

政府統計によると、診療所の年次別廃止・休止施設推移(1996年以降)は以下の通りです。(図1-2)



グラフの「③廃止・休止施設合計」を見ると、1996年から2014年にかけて増加傾向にあり、特に2011年から2014年にかけては5,462件から7,677件と約1.5倍に伸びており、顕著に増加していることがわかります。


③医療機関経営者の平均年齢の上昇、医療機関開業時年齢の高齢化

診療所・病院別経営者(開設者、法人代表者)平均年齢および医師全体の平均年齢の年次別推移(2004 年以降)は、以下のとおりです。(図表1-3)




2004 年には、診療所平均が「59.4 歳」、病院平均が「62.0 歳」であったのが、2016 年には、診療所平均が「61.2 歳」、病院平均が「64.2 歳」に上昇しています。また、医師全体(経営者以外を含む)でも、2004 年の平均が「48.2 歳」であったのが、2016 年には「50.0 歳」に上昇しています。


医療機関経営者の年齢別分布割合を見ると、診療所では 60 歳以上が 52.6%を占め、70 歳以上に絞っても 18.6%です。また病院では、60 歳以上が 66.1%を占め、70 歳以上に絞っても 29.2%であることがわかります。(図表 1-4、図表1-5)






一般的に65歳が定年退職の年齢とされていることを考えれば、60歳以上が半数以上を占める医療機関経営者の年齢層の高さが伺えます。




 

2. 「第三者承継」という選択肢


①後継者属性の実態

民間調査によれば、医療機関において既に後継者を決めているケースでは、当該後継者の属性が「非親族」である割合は、診療所で 12.4%、病院で 35.3%です。(図表:2-1、2-2)






現状としては、親族が割合としては最も多く、非親族が引き継ぐ割合は親族に比べれば少ないことがわかります。

一方で、子どもが医師であるにもかかわらず、親の医業を継承しない背景には、大別して以下の2つの理由があります。

(1) 地域の将来性に対する不安(特に地方において顕著) 

(2)自分や家族の生活スタイルや教育環境、居住環境を重視したいとの志向



②「第三者承継」の広がり

こうした中で第三者承継(「M&A=合併、買収」を含む、以下 同様)が広がる兆しがあります。

自身のリタイアメントプランを検討する医師のうち「後継者がいない、 未確定」の医師の約 8 割が「第三者承継」を選択肢に入れているとの民間調査があります。 2)

また、M&A 仲介事業者の例によれば、20 年前に「8.6%」であった第三者承継の割合が、直近では「45.9%」に急伸しているとのデータがあります。 3)


こうしたことから、子供が医師であるにも関わらず、親の医業を承継しないケースが昔に比べて増えている現状があります。


③「第三者承継」をサポートする事業者の台頭・活発化

このような第三者承継の広がりを受けて、三者承継をサポートする事業者の働きかけが活発化し、セミナーなどによる譲渡・譲受希望者のマーケティング活動が盛んにおこなわれています。


主に、下記事業者が第三者承継における事業の譲渡希望者および譲受希望者(事業承継による新規開業を希望する勤務医、分院開設希望の医療機関、医療界への進出を目論む一般事業会社等)に対して、サポートを行っています。


・専門職(公認会計士・税理 士・弁護士)

・経営コンサルタント

・M&A 仲介事業者


3. 「第三者承継」のボトルネック

医療機関の経営陣にとって、第三者承継や M&A の手続きについての情報が非常に限られている現状があり、医業承継案件を数多く取り扱っている専門職(公認会計士・税理士・弁護士)、経営コンサルタント、M&A 仲介事業者に依頼し、第三者承継を進めるケースが増えています。一方で、第三者承継を進めていく上で、いくつかの障壁(ボトルネック)が存在していました。ここでは、第三者承継を実行するステークホルダーとして、「医療機関経営者」と「医業承継の専門事業者((公認会計士・税理士・弁護士)、経営コンサルタント、M&A 仲介事業者。以下同語)」の2つの立場からみたボトルネックにわけて、まとめました。


医療機関経営者からみた第三者承継の実務上の障壁(ボトルネック)

まず、第三承継を遂行していく中で、様々な実務上のトラブルが起こっているということが調査によって明らかになりました。

以下では、実際のトラブルのケース経営体制が起因となってしまったものと承継が成立したにもかかわらず、引き起ってしまったものを2つに分けて、まとめました。


 ■医療機関の経営体制によって引き起るトラブルのケース

  第三者継承前に、元々の医療機関の経営体制によって、トラブルが引き起っているケースがあります。

  ・持分あり法人において、出資持分が分散してしまっているケース

    (その一人からでも異論が出ると案件がスタックしてしまう)

  ・社員総会や理事会の議事録等の文書管理がきちんとなされていないケース 


 ■第三者継承後のトラブルのケース

  第三者継承が成立した後に引き起るトラブルとして、大きく3つのケースがありました。

  ・ヒト(主要スタッフの退職や大量退職などが起きる等)

  ・モノの管理(建物や機器の管理など、モノの管理においてトラブル になる)

  ・カネ(補助金の返還を求められた、スタッフの退職給付債務 が引き継がれていないことが発覚した等)



医業承継の専門事業者からみた第三者承継の実務上の障壁(ボトルネック)

■「医療機関の事業価値評価」手法が未確立による障壁(ボトルネック)

第三者承継や M&A の際に、売買金額の根拠となる「医療機関の事業価値評価」について、仲介事業者等によ  って様々は算出方法を用いており、標準的な算出方法がない現状があります。

事業者への調査により、算式として「時価純資産額+営業権」を用いる場合が多いものの、医療機関の営業権の評価は事業者により様々です。




こうした現状から、医療機関経営者にとっては不利益な事態が生じるかもしれないと不安視される声や医業承継案件を数多く取り扱う専門職(公認会計士・税理士・弁護士)からも現場に混乱が起きているという指摘があります。



③第三者承継の障壁が引き起こされた要因の考察

①に関して、経営体制によるトラブルのケースが調査により例示されましたが、こうしたトラブルが引き起こされた要因として、医療機関が第三者承継を想定した経営体制をとっておらず、事前の準備がなされていない実態が把握できます。医療機関は将来的な「第三者承継」を想定した経営体制を前もって整えることで、実際に承継に直面した際のトラブルを回避できるでしょう。


②に関して、事業価値評価手法が未確立なため、医療機関経営者だけではなく、医業承継を取り扱う専門職の方々の間でも混乱が生じている実態がありました。こうした問題は医業承継の分野の発展にともなって、評価手法が確立していくことも想定されますが、医療機関経営者の方々の伴走者となる医業承継の専門事業者にとっても、第三者承継について正確な情報を取得し、提供できるようになるための医業承継分野の環境整備が必要です。



4. まとめと今後の展望~ケアネットとしてできること~

以上より、医業承継の現状として、これまでの家族間の承継ではなく第三者への承継や事業譲渡、M&A となる割合が増えている実態が把握できました。そうした中で、円滑に医業承継を進めるために医業承継案件を数多く取り扱っている専門職(公認会計士・税理士・弁護士)、経営コンサルタント、M&A 仲介事業者に依頼する場合は増えているものの、医療機関の経営陣にとって、第三者承継や M&A の手続きについての情報が非常に限られている現状があります。承継時での実際のトラブルのケースや「医療機関の事業価値評価」手法の未確立な現状をみても、医療機関経営者は「第三者承継」について早めに認識し、経営体制として事前に準備をしておくことや、医療機関をサポートする専門事業者は、第三者承継を必要としている医療機関経営者の方々に適切な情報を教示できる環境を整えることが急務であるといえます。

こうした点から、ケアネットはホームページでの医業承継に関するコラム掲載やメルマガ配信によって、「医業承継」の情報の均質化に取り組んでおり、医業承継の円滑な推進の一助となるサービスを展開しています。




 (脚注)

1. 日本医師会総合政策研究機構「日医総研ワーキングペーパー~医業承継の現状と課題」(2019年1月8日)

2.エムスリー(2014):全国 40 歳以上の開業医を対象とした調査。ただし、n数は不詳

3.日本 M&A センター(2018)


(参考文献・引用データ)

当コラムは 日本医師会総合政策研究機構「日医総研ワーキングペーパー~医業承継の現状と課題」(2019年1月8日)を基に構成されています。参考文献等について下記をご参照ください。

日本医師会総合政策研究機構「日医総研ワーキングペーパー~医業承継の現状と課題」(2019年1月8日)



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