1.勤務医の開業動向に関する予測

我が国では、高齢化社会の進行に伴う患者増に対応すべく、医師の確保が進められてきました。2000年頃には年間3,500人程度だった医師数の増加ペースは、2020年には、年間6,200人まで上昇しています。増えているのは、もっぱら病院の勤務医です。

（出典：『医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』（2020））

2020年時点で、「病院勤務中の40代医師」は約5万人、「病院勤務中の30代医師」は約6万人います。この事実から推測できるのは、今から10年後、開業する医師のボリュームゾーンである「病院勤務中の40代医師」の数は、現在と同等以上の水準になるということです。第三者承継を検討している開業医の方々にとっては、アプローチできる勤務医の数が増えるため、譲渡成功の確率が高まるように思われます。

しかしながら、「開業志向」という観点では、不確かな部分があります。 実際に、弊社に開業のご相談をいただく先生からは、「診療報酬の削減が今後も続くと見込まれる中、本当に開業して良いのだろうか？」というお悩みを伺う機会が増えています。診療報酬の削減や、自己負担増による患者の来院頻度低下に経営上のリスクを感じられ、開業に踏み切れない先生が増えている認識です。

2.「患者不足」時代の訪れ

診療報酬の削減とともに、医院経営にとって大きな向かい風になると考えられているのが、日本全体の人口減に伴う「患者不足」問題です。様々な資料・書籍・記事において、今後10年以内に医師需要が減少し、「患者不足」問題が起きると予測されています。下記はその一例です。

・『医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第5次中間とりまとめ』：2029年頃に医師の需給は均衡し、その後も医師数は増加する一方で、人口減少に伴い医師需要が減少すると予測。

・『診療所経営の教科書』：外来患者数は2025年頃をピークに減少し、2035年には、80歳未満の医師1名あたりの外来患者数が17.9人/名まで落ち込むと予測。


・『「医師不足」より深刻…？ 2030年頃に「患者不足」に陥るという「意外すぎる未来」』（https://gendai.media/articles/-/109760?media=gs）：2029年頃～2032年頃に医師数約36万6000人で需給が均衡し、その後は医師が過剰になると予測。

3.将来に向けたスケジュール案作成のご提案

「患者不足」問題は、現在どれだけ盛業中の医院であっても、今後の経営が難しくなってしまうリスクを示唆しています。そして、患者が減り始めてから医業承継（第三者承継）に向けて動き出しても、将来の勤務医の開業志向については不確かな部分があり、必ずしも、理想的な後継者を見つけられるとは限りません。

以上を踏まえて、当社では、5~10年後の医業承継を少しでも検討している開業医の方々には、「医院経営が順調な今のうちから検討を始める」ことをオススメしております。今から準備を始めたからといって、早期に医院を譲渡しなければいけないということはありません。あくまで希望時期での医業承継を目標としつつ、外部環境の変化にあわせていつでも後継者探しを本格化できるように準備しておくことが、理想の医業承継のために重要だと認識しております。

当社では、中長期での医業承継を検討されている開業医の方々向けに、【”●年後の引退”から逆算したスケジュール案作成支援（無料）】をしております。医業承継に向けて「今」しておくべきことと、「今後」するべきことをスケジュール表にまとめ、時系列に沿って整理させていただきます。

ご興味がある方は、ぜひ個別相談会に参加頂けますと幸いです。（下記応募フォーム内の「備考欄」に“スケジュール案作成を希望”とご記載をお願いします）

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 （参考文献・引用データ）

厚生労働省『医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』（2020）

厚生労働省『医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第5次中間とりまとめ』（2022）

小松大介『診療所経営の教科書』（2022）

河合雅司『「医師不足」より深刻…？ 2030年頃に「患者不足」に陥るという「意外すぎる未来」』.現代新書.2023-05-08.https://gendai.media/articles/-/109760?media=gs,（参照2024-02-21）

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