知っておきたい 医院承継・売却時の売値の相場とは?
基礎知識コラム医院を売却する際には、譲渡側(売り手)は譲受側(買い手)から対価を受け取ることが一般的です。弊社でも後継者探しを検討している開業医からお問合せ頂く質問の中で、最も多いのが「売却額はいくらになりそうか?」「譲渡額の相場は?」という質問です。
今回は、医院承継・売却時の売値の相場についてご紹介します。
売値の計算式とは?(個人医院の場合)
まず、売値の算定にあたって下記のような計算式で考えることが一般的です。
売値=営業権(のれん)+譲渡資産額
営業権(のれん)とは?
営業権については様々な説明方法がありますが、ここでは簡単に理解しやすいよう
「”患者が現在の医院に通院している見えない力”この力をお金に換算したもの」と表現させていただきます。
譲渡資産額とは?
ここでは個人医院の場合と仮置きして説明すると、主に、医療機器、内装(テナント賃貸の場合)、土地建物(自己所有の場合)が譲渡対象資産に該当します。そして、これらの資産を時価(土地は時価算定が一般的)や簿価(機器、内装、建物は簿価算定が一般的)で算出したものを譲渡資産額といいます。
上記公式が理解できると、今度は営業権の算定方法が売値算定の肝であることがわかるかと思います。
営業権の算出方法とは?(個人医院の場合)
大別して下記2パターンで算定するケースことが一般的です。
①前年度の年間所得×1年分
②1年後の年間所得予測値+2年後の年間所得の予測値
①を用いるパターンとは?
医院承継の売値を算定する際に、最もオーソドックスな方法はこの①のような手法となります。例えば、医院を30年運営する開業医が後継者不在が理由で医院の譲渡を検討しているとします。そして、このような医院は地域で根付いているため、売上が直近で大きく変動していないというケースがほとんどです。
このような場合には、①のように前年の院長所得の1年分を営業権と設定します。補足ですが、この「×1年」という数値は、業種によって大きく異なります。診療所においては、この「×1年」が相場となっていますが、薬局においては、「×3年」が相場となります。その他、事業会社で且つIT業種などにおいては「×7年」といった相場になることもあります。
②を用いるパターンとは?
②を用いるのは極めて稀なケースです。具体的には、開設して間もない医院が諸事情あって医院を売却する場合などに用いられる計算式です。※また、開設して年数が経過していても医院の売上が大幅に下がってきているなどの場合には、①+②のようにミックスした数式で、算定する場合があります。
開設して間もなく”親の介護”などの事情で泣く泣く医院の譲渡を検討しないといけない場合があります。このような医院は、売上が右肩上がりとなっており、売上の伸び率が非常に高いケースが多いのが実情です。こうした医院において、前年の所得を用いて営業権を算定することは、医院の価値を正しく評価できないことに繋がります。
よって、このようなケースにおいては、翌年、翌々年の事業計画や年間所得の推定値を算出し、これらを足して営業権と設定するのです。
プレミアムとは?
最後に、売却額の算定にはプレミアムを考慮することもあります。例えば、開業人気エリアとして知られる世田谷区・目黒区などにおいては、エリアのプレミアムを上乗せして売値を算定することもあります。
例としては、①の計算式では売値は3,000万円と設定できるものの、エリアのプレミアムを考慮し、売値を4,000万円と設定するなどのケースです。
当社では、医院の譲渡額の無料算定も行っています。譲渡額の算定をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
ケアネット医業承継チーム
ケアネットの医業承継チームは、業界経験が長いベテランアドバイザーを中心に、 税務や法務について豊富な専門知識を有する専門コンサルタント、幅広いサポート体制をもつサポートメンバーで構成されております。 専門性の高いメンバーが複数人で関わるチーム制を採用することで、お客様にご満足いただけるサポートや運用体制をご用意しております。 診療所の医業承継に特化をした、全国でも数少ない医業承継チームのノウハウで、開業医の先生方の『後継者問題』の解決に寄与できるよう、誠心誠意サポートさせていただきます。