開業医への転身と勤務医継続の違い~2040年問題に向けたネクストキャリアを考える①~
お役立ちコラムケアネットでは、医師のキャリア支援として、開業や転職などのキャリア選択の支援も行っています。
その中で、「このまま勤務医を続けるべきか、それとも開業すべきか」という悩みに直面される瞬間
に出会う機会も多くございます。
今回のコラムでは、「2040年問題に向けたネクストキャリアを考える」という大テーマのもと、
全4回のシリーズで皆さまのキャリア選択のヒントとなる情報をお届けします。
第1回:開業医への転身と勤務医継続の違い
~2040年問題を見据えて~
キャリアの岐路に立ったとき、大きな選択となるのが「開業」か「勤務医継続」かという問いです。
これらは単なる働き方の違いにとどまらず、人生そのもののあり方に大きく関わってきます。
今回はこれらの違いを、急速に変化する「10年後の医院経営」の視点を交えて考えてみましょう。
医療に対する考え方の違い
勤務医の魅力のひとつは、高度な専門性を追求でき、最新の医療設備やチーム医療の環境が整っている点です。その点では、研究や教育に携わる機会も多く、アカデミックな志向を持つ方に適しています。
一方、開業医は「地域医療のゲートキーパー」としての役割が主となります。
専門外の疾患にも幅広く対応するプライマリ・ケアのスキルや、患者さんと長く深く付き合うコミュニケーション能力が求められます。
また、「経営者」としての視点も不可欠となり、自らの理想とするクリニックをゼロから創り上げる面白さがあります。
これからの時代、開業医には「2040年問題」への対応力も求められます。
総人口の減少と高齢化(2040年には高齢者割合が約35%に達する見込み)が進む中、
地方では医療機関の維持すら困難になる「消滅可能性自治体」の増加が予測されています。
次世代の開業医には、従来型の医院経営にとどまらず、地域コミュニティの維持までをスコープに入れた
新しい医療提供体制の構築や、医師の役割の拡大が求められていくでしょう。
生活スタイルの違い
勤務医は、当直やオンコール、急患対応などがあり、肉体的・時間的な負担が大きい傾向にあります。
しかし、勤務時間外や休日は組織に守られているため、オンオフの切り替えがしやすいという側面もあります。
開業医は、診療時間や休日を自分でコントロールできるため、自分の考えや匙加減でワークとライフのバランスを整えやすいのがメリットです。
しかし、経営責任は常に背負っているため、精神的な意味での「完全なオフ」は得にくいかもしれません。
特に経営者としての大きな負担になり得るのが、深刻化する医療従事者(特に看護師)の不足です。
今後はミレニアル世代の職員が増加しますが、この世代は「柔軟な働き方」「ワークライフバランス」
「社会的意義」を強く重視する傾向があります。
自身の生活スタイルをコントロールしつつ、デジタルツール(医療DX)を活用して職員の負担を軽減し、
彼らが主体的に働ける組織環境を作れるかが、経営者の手腕として問われます。
生涯年収の比較
一般的に、勤務医の給与は安定していますが、ある程度の年齢で頭打ちになりやすい傾向があります。
対して開業医は、経営が軌道に乗れば勤務医時代を大きく上回る収入を得ることが可能です。
ただし、多額の初期投資に伴う借金返済のリスクや、患者数によって収入が変動する不安定さも抱えています。
生涯年収で見ると開業医の方が高くなるケースが多いものの、それは「経営に成功した場合」という前提がつきます。
将来的にこの「経営成功」のハードルは一段と高くなる可能性があります。
人口減少に伴い外来患者数は減少傾向となる一方で、医師の需給は2029年〜2032年頃には均衡し、
以降は医師過剰による地域間のバランス崩壊が懸念されています。
患者から選ばれ続けるためには、デジタルネイティブであるミレニアル世代の患者が求める
「オンライン診療」「Web問診」といった迅速で便利な医療DXサービスへの対応など、
変化するニーズへの柔軟な適応が収益を大きく左右することになります。

第2回となる次回は、「開業」という道を選んだ際の「新規開業と承継開業の違い」についてお届けします。
ケアネット医業承継チーム
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