いまこそ地方クリニックは医業承継に動くべき理由
お役立ちコラム■ いま、地方クリニックの医業承継は「追い風の中」
地方のクリニックが医業承継に取り組む意義は、これまでも語られてきました。
ただ、正直に言えば長いあいだ「後継者が見つからない」という諦めが、現場の空気として存在していたのも事実です。
ところが、いま状況が少しずつ変わり始めています。
地方クリニックにとって、医業承継に動く“チャンスの窓”が開きつつある。
そんな局面に私たちは立っているのかもしれません。
■ 「都市で開業したい」が前提だった時代
これまでは多くの医師が、アーバンエリア、いわゆる都市部での開業を目指してきました。
患者数が見込みやすく、アクセスもよい。
専門性を標榜すれば集患もしやすい。
都市開業にはわかりやすい合理性がありました。
ただ一方で、都市部は競合が多く、差別化のハードルが年々上がり続けてきたのも事実です。
「都市なら安心」という“成功の方程式”が、少しずつ揺らいできた、ということです。
■ 診療報酬改定とインフレが、開業の前提を変えた
背景にあるのは、経営環境の変化です。
2024年度の診療報酬改定については、開業医の多くが【2023年度と2024年度の「患者1人当たりの診療単価の平均」については、「やや減った」(34%)、「大きく減った」(11%)を合わせると45%が減少したと回答した。】と回答しており、収益構造そのものが引き締まっています。
さらに、物価や人件費の上昇といったインフレ要因が、都市部の高コスト体質に直撃しています。
結果として、都市の開業は「メリットが大きい場所」から「リスクと競争が可視化された場所」へと性格を変えつつあるのかもしれません。
※リンク引用:ケアネット「賃金・物価上昇、診療報酬改定が直撃!診療所の経営は?/医師1,000人アンケート」
■ 若手医師の視線は、ローカル・郊外へ
こうした変化の中で、とくに若手医師を中心に、
ローカルエリアや郊外での開業を検討する動きが強まっています。
都市の競争を避け、過不足のある地域で必要とされる医療を担うほうが、
医師としてのやりがいも、経営の安定性も描きやすい。
そして国も医師偏在の是正を強く打ち出し、医師が不足する地域を支援する政策を進めています。
都市部の開業に一定の抑制がかかる可能性も議論されており、制度面でも“地方に向かう流れ”は後押しされています。
つまり、現場の気分だけでなく、構造としても、流れが変わってきているのです。
■ 「後継者は見つからない」から「いまなら現実的」へ
ケアネットは長く医業承継のサポートをしてきましたが、
ここ1〜2年で明らかに増えているのは、「都市部を避けて開業したい医師」の存在です。
以前なら、地方の承継案件に対して
「良い話だけど候補がいない」「結局決まらない」
と終わっていたのが実情でしたが、傾向が変わってきている認識です。
医師側の価値観が変わり、制度の空気が変わり、
地方での開業が“戦略として成立しやすい選択肢”になってきました。
また、物価高(医院の内装をつくるにも多額の投資が必要)・集患の安定性・スタッフ採用の難易度など鑑み、新規開業を避ける傾向は益々高まっています。このような背景から地方クリニックでの医業承継の実現性、その機運は高まっているものと認識しています。
■ おわりに:動くなら「いま」というタイミング
医業承継は、待っていて自然に進むものではありません。
「いつかやらねば」と思っていた課題に、
追い風が吹いているときに踏み出すことが何より大切です。
これまで「後継者は見つからない」と感じていた地方クリニックこそ、
いま一度、承継の可能性を現実の選択肢として捉え直すべきタイミングに来ているかもしれません。
地域医療を守るために。
いまこそ地方クリニックは、医業承継に取り組むチャンスの中にあると感じます。
ケアネット医業承継チーム
ケアネットの医業承継チームは、業界経験が長いベテランアドバイザーを中心に、 税務や法務について豊富な専門知識を有する専門コンサルタント、幅広いサポート体制をもつサポートメンバーで構成されております。 専門性の高いメンバーが複数人で関わるチーム制を採用することで、お客様にご満足いただけるサポートや運用体制をご用意しております。 診療所の医業承継に特化をした、全国でも数少ない医業承継チームのノウハウで、開業医の先生方の『後継者問題』の解決に寄与できるよう、誠心誠意サポートさせていただきます。
